個人事業と法人はどちらがよい?メリット・デメリットを比較

事業を始めるとき、「個人事業で始めるか、最初から法人を設立するか」で迷う方は少なくありません。
一般的には、費用を抑えて小さく始めたい場合は個人事業、取引先との契約や採用、将来の事業拡大を重視する場合は法人が選択肢になります。
ただし、税金だけで決めることはできません。社会保険料、会社の維持費、今後の事業計画まで含めて比較しましょう。
個人事業と法人の主な違い
| 比較項目 | 個人事業 | 法人 |
| 開業・設立費用 | 登記費用は不要 | 登録免許税などが必要 |
| 事業年度 | 原則1月~12月 | 1年以内で設定できる |
| 申告期限 | 原則として翌年3月15日 | 原則として決算後2か月以内 |
| 利益に対する税金 | 所得税・住民税など | 法人税・法人住民税など |
| 赤字の繰越し | 青色申告では原則3年間 | 青色申告では原則10年間 |
| 社会保険 | 業種や従業員数などによる | 原則として加入が必要 |
| 経理・申告 | 比較的取り組みやすい | 手続きが複雑になりやすい |
| 事業の引継ぎ | 事業主の変更が必要 | 株式や持分で引き継ぎやすい |
青色申告をしている個人事業では、一定の要件のもとで純損失を翌年以後3年間繰り越せます。法人の欠損金は、一定の要件のもとで原則10年間の繰越しが可能です。
個人事業のメリット
・少ない費用で始められる
個人事業は、会社設立の登記が必要ありません。税務署などへ必要な届出を行うことで事業を始められるため、開業時の費用と手続きを抑えられます。売上や利益の見通しがまだ立っていない場合は、まず個人事業で始め、事業が安定してから法人化する方法もあります。
・利益が少ない時期は負担を抑えやすい
創業直後で利益が少ない場合は、法人よりも税金や社会保険料を含めた負担が小さくなることがあります。青色申告を選択すれば、要件に応じて青色申告特別控除や赤字の繰越しも利用できます。
・経理や申告が比較的わかりやすい
法人と比べると、日常の経理や確定申告は比較的取り組みやすい仕組みです。会計ソフトを使って自分で申告する事業主もいます。
個人事業のデメリット
・利益が増えると税負担が重くなることがある
所得税は、課税所得が増えるほど税率が上がる仕組みです。そのため、利益が継続的に増えた場合は、法人化が選択肢になります。ただし、法人化すると社会保険料や法人住民税、決算費用などが発生します。利益だけで有利・不利を判断することはできません。
・新規取引や人材採用の場面で不利になることがある
個人事業では、取引や人材採用の面で不利になる場合があります。取引先を法人に限定している企業とは新規取引ができず、人材採用でも、応募者が法人であることに安心感を持つ場合には、応募先として選ばれにくくなる可能性があります。ただし、個人事業だからといって一律に信用が低いわけではなく、実績や財務内容、契約条件なども重要な判断材料となります。
・事業主本人へ給与を支給できない
個人事業では、事業主本人に給与や役員報酬を支払うことはできません。事業で生じた利益が、原則として事業主本人の所得になります。また、生活費と事業資金が混ざらないよう、事業専用の口座を用意して管理することが大切です。
法人のメリット
・事業と個人のお金を分けやすい
法人は、経営者個人とは別の存在として扱われます。会社名義の銀行口座や契約を利用するため、事業資金と生活費を区分しやすくなります。
・役員報酬を支給できる
法人では、経営者に役員報酬を支給できます。一定の要件を満たす役員報酬は会社の経費となり、経営者側では給与所得として計算されます。役員社宅や退職金制度などを利用できる場合もありますが、税務上のルールに沿った運用が必要です。
・事業拡大や引継ぎに対応しやすい
従業員の採用、外部からの出資、複数人での経営などを予定している場合は、法人のほうが仕組みを整えやすい傾向があります。また、法人名義で契約や資産を保有するため、経営者が代わっても事業を継続しやすくなります。ただし、法人を設立しただけで融資が受けやすくなるわけではありません。融資では、自己資金、経営者の経験、事業計画、返済の見通しなども確認されます。
法人のデメリット
・設立費用と維持費がかかる
法人の設立には、登録免許税や定款作成に関する費用などが必要です。株式会社と合同会社では、設立費用や運営方法が異なります。設立後も、赤字の場合に原則として発生する法人住民税の均等割や、会計・決算、登記などの費用を考えておく必要があります。
・社会保険料の負担が生じる
法人は、代表者だけの会社でも、原則として健康保険と厚生年金保険への加入が必要です。社会保険料は会社と加入者が分担するため、役員報酬を決める際には、会社負担分も含めた資金繰りを考える必要があります。
・決算や手続きが複雑になる
法人では、法人税や地方税の申告、年末調整、社会保険、登記など、個人事業よりも必要な手続きが増えます。税理士への依頼は義務ではありませんが、申告や届出の漏れを防ぎ、本業に集中するために依頼する会社もあります。
個人事業と法人はどう選ぶ?
次のような場合は、個人事業から始める方法が考えられます。
一方、次のような場合は、最初から法人を設立することも検討しましょう。
法人化を判断するときは、利益の見込みだけでなく、役員報酬、社会保険料、法人の維持費、消費税、採用や融資の予定をまとめて確認することが重要です。
まとめ
個人事業は、費用と手続きを抑えて始めやすいため、小規模に事業を始めたい方に向いています。
法人は設立後の負担が増える一方、採用、複数人での経営、出資、事業の引継ぎなどに対応しやすい点がメリットです。どちらを選ぶかは、税金だけでは決められません。社会保険料や維持費、今後の事業計画まで含めて判断しましょう。
個人事業と法人の比較もサポートします
西中島南方・新大阪の税理士事務所、フラッグシップ税理士法人では、個人事業と法人の税金や社会保険料を比較し、設立後の資金繰りも踏まえたご提案を行っています。どちらで事業を始めるべきか迷っている方は、会社設立前にご相談ください。
